チェーザレ・ボルジアについて、とりとめのないけれど愛に満ちた探究心を発揮するサイトです。

関連書籍-その他

関連書籍 その他

時代背景関連

「ルネサンスとは何であったのか」塩野七生 新潮文庫 平成20年

ルネサンスとは何であったのか (新潮文庫) ルネサンスの興ったフィレンツェから、ローマを経て、最後の担い手となるヴェネツィアへ。(途中、小都市グレーヴェをはさむ)
各都市を巡りながら、ルネサンスとは何であったのか、その流れと本質が、対話形式で語られる。

ルネサンス=文芸復興、古代復興。ダ・ヴィンチやミケランジェロなど、多才で多彩な人物を多く輩出した・・・。
世界史の授業で教わるし、よく耳にする言葉ではあるし、何となく知ってはいる。だけど、具体的に何がどうなってつまり何なのか、よくわからない。そんな人にお勧めの本。

ルネサンスの端緒となる聖フランチェスコ、フリードリヒ2世から、続く複雑な流れを、判りやすく解説している。ただ、たくさんの人名、地名、歴史用語が頻出するので、「なんとなく」くらいは知っていないと、多少難しくはあるかも。

チェーザレの名はほとんど出てこない(あとがきを含めて4ヶ所。アレクサンデル6世が1ヶ所)が、彼の生きた時代周辺がどういった状況であったのかを知ることはできる。

冒頭と巻末の資料が、大変によい補足となっており、これ1冊でルネサンスというものを、大まかに掴むことができると思う。




「イタリア史 Ⅰ」 F・グイッチァルディーニ 末吉孝州 訳 太陽出版 2001年

イタリア史〈1〉 著者グイッチャルディーニは1483年にフィレンツェで生まれた法律家・歴史家。ロマーニャの総督をしたりもしている。「イタリア史」は全20巻で構成されており、日本語訳版はそれを全9巻にまとめてある。この「イタリア史 Ⅰ」にはオリジナルの1、2巻分が収録。
巻頭に図版、地図、年譜、家系図、巻末にリコルディ(ricordi.記憶、思い出、という意味。グイッチャルディーニの箴言集)、全20巻の総目次が添付。
ロレンツォ・デ・メディチの死によって混乱していく1490年代のイタリアの情勢から、シャルル8世のイタリア侵攻そして帰国までがものすごく詳細に描かれる。

詳細すぎて難しい。塩野版では2章分(第4章と5章)の話がこちらでは1冊だもの・・・。知らない人がいーっぱい出てくるし!そして改行のない文章!これでも読みやすくしてあるらしいけど・・・読みにくいわ!
しかしとりあえずの予備知識(ある程度背景や人物を知らないとつらいと思う)と大いなる好奇心(これは大事。ないと読み進めるのは退屈で困難)をもって読むと、けっこうおもしろく読める。チェーザレ本だけではもの足りない、イタリア史を深く知りたい人におすすめ。

ちなみにチェーザレはホアン(ジョヴァンニ)の弟となっている(そういう説もある)。(ホアンはスペイン語の名。ジョヴァンニはそのイタリア語)。そしてほとんど出てこない(悲)。メイン人物はイル・モーロ、シャルル8世、ナポリ王4人(2人のフェルディナンド、アルフォンソ、フェデリーゴ)、アレクサンデル6世、ピエロ・デ・メディチオルシーニ家、コロンナ家・・・など。

P95のガンディア公は注釈にペドロ・ルイスとあるが、これはホアン(ジョヴァンニ)の誤りだよ〜。




「イタリア史 Ⅱ」 F・グイッチァルディーニ 末吉孝州 訳 太陽出版 2001年

全20巻で構成されているオリジナルを、日本語訳版は全9巻にまとめてある。「イタリア史 Ⅱ」はオリジナルの3、4巻分を収録。
巻頭に図版、地図、巻末にリコルディ(ricordi.記憶、思い出、という意味。グイッチャルディーニの箴言集)が添付される。
シャルル8世帰国後、ピサをめぐる争いが勃発、ホアンは暗殺され、サヴォナローラが処刑され、フランス王はルイ12世となり、チェーザレが還俗、ミラノ公ルドヴィーコ・スフォルツァは国を失いフランスへ連行される・・・。1495年10月から1500年4月までが描かれる。
ピサ争奪戦が・・・退屈・・・。フィレンツェがこうしたら、ヴェネツィアはそうして、ミラノはどうする、というような細かい動向が、「もうどうでもいいよ!」と思えてくる。あまりこの辺に興味がないからだとは思うけど。4巻部分に入り、5章からチェーザレが登場しだすと、とてもおもしろくなる。もっと詳細に描いてほしい!
しかし当時のボルジア家に対する評価は本当に偏っていたようで、ホアン暗殺は、ルクレツィアの愛を独占したがったチェーザレのしわざ、セプテンの司教の死もチェーザレによる毒殺、とあっさり言い切っている。まあ、それは事実ではない、と否定する証拠もないんだけれど。さらっと断言されると驚く。

巻末の訳者あとがきが、微に入り細に入った内容を、とても簡潔にまとめてあって秀逸。ここを読めば全体の概要はつかめる。

アスカーニオ・スフォルツァはルドヴィーコの兄、とされているが、弟の誤りだと思う。・・・そういう説もあるのか?




「イタリア史 Ⅲ」 F・グイッチァルディーニ 末吉孝州 訳 太陽出版 2001年

イタリア史〈3〉第5・6・7巻 [単行本]




「イタリア史 Ⅳ」 F・グイッチァルディーニ 末吉孝州 訳 太陽出版 2001年




「フィレンツェ史」 F・グイッチァルディーニ 末吉孝州 訳 太陽出版 1999年




「フィレンツェ史 上」 マキアヴェルリ 大岩誠 訳 岩波文庫 1954年




「フィレンツェ史 下」 マキアヴェルリ 大岩誠 訳 岩波文庫 1960年




「イタリア・ルネサンスの文化」 
ヤーコプ・ブルクハルト 新井靖一 訳 筑摩書房 2007年




「総合新世界史図説」 監修 長澤和俊 他 帝国書院 1989年




「世界史図録ヒストリカ」 谷澤伸 他 山川出版社 2005年




「面白いほどよくわかる ローマ帝国 巨大帝国の栄光と衰亡の歴史
金森誠也 監修 日本文芸社 平成18年

面白いほどよくわかるローマ帝国―巨大帝国の栄光と衰亡の歴史 (学校で教えない教科書) ギリシャ神話の女神たちの登場する、伝説のローマ建国から、東ローマ帝国の滅亡まで。図版や写真を多く使って、簡潔にわかりやすく説明される。全5章。
第1章 ローマ帝国建国と覇権の道のり
第2章 アウグストゥスと帝国の成立
第3章 ローマ帝国の発展期
第4章 ローマの平和 五賢帝の統治
第5章 ローマ帝国の崩壊

代々の皇帝ごとに、その時代のできごとやエピソードが語られる。見開きの2ページがセットで1節になっていて、地図や家系図、図表、写真などが必ず添えられている。非常に理解しやすく、読み進めやすい形式。

文章も一文が短く、くだけているので、読みやすい。難しい専門用語もない。あってもちゃんと説明される。
ローマ史世界史に疎い、初心者にも薦められると思う。




「図説 中世ヨーロッパの暮らし」 河原温 堀越宏一 河出書房新社 2015年

中世と言うと5世紀から15世紀半ばまでを指すようだけれど、この本では主に13世紀から15世紀終盤までを扱っている。チェーザレの時代に被っているので、ありがたい!

人々の暮らしを農村と都市に分け、それぞれの衣食住や日常を、当時の絵画や今も残る遺跡の写真などを交えて説明される。

第1部 農村の暮らし
第1章 中世農村の誕生
第2章 農民と領主
第3章 村の姿
第4章 農民の仕事

第2部 都市の暮らし
第5章 中世都市の誕生
第6章 都市の労働

第3部 中世人の日常
第7章 中世の人々の一年と一生
第8章 衣食住

全128ページ。薄いし図版も多く初心者向けっぽいけども、易しくは…ないと思う。文章も多いし、けっこうな情報量。詰め込んである。
フランス、ドイツ、オランダ、イタリアと満遍なく登場する。イタリアはシエナ、フィレンツェが多い。ヴェネツィア、ミラノ、他小都市も出る。
スペインはほとんど出ない。

時代特有の食物観があって、天に近いほど尊い食物で地中にあるものは卑しいと考えられていた、というのが面白い〜と思った。
果物嫌いで、カブや玉ねぎ好きな王侯貴族は恥ずかしく思ってたのかな!?笑う。

12世紀のミラノでは都市の土地価格は周辺農村部の36倍だった、というのも驚きだった。東京と地方都市でもそこまでないのに!

思わず、へ〜!と言っちゃうような内容が具体的に紹介され、読み応えある。




「図説 ヨーロッパの王朝」 加藤雅彦 河出書房新社 2005年

図説 ヨーロッパの王朝 (ふくろうの本) (単行本) 全10章。
第1章 ドイツ
第2章 オーストリア
第3章 フランス
第4章 スペイン
第5章 イタリア
第6章 ベネルクス
第7章 イギリス

第8章 北欧
第9章 ロシア
第10章 バルカン
ヨーロッパの歴史は、さまざまな国の動きが複雑に絡み合っていて、とてもややこしい。
シチリア王国は北欧、ドイツ、フランス、スペインと次々に支配者を変えているし、ベネルクスの支配者はフランク王国、ルクセンブルク伯、ブルゴーニュ伯、ハプスブルク家、と変遷する。
イギリス王ヘンリー2世はフランスのアンジュー伯だし、スペイン王カルロス1世と神聖ローマ帝国皇帝カール5世は同一人物だ。

本書は、国ごとにそれぞれの王朝の歴史を追っているが、注釈によって、関わりあう他国の動きにリンクされているので、全体像を俯瞰して捉えることができる。
レヴェル的には浅く、入門書の域を出ないが、基本的なヨーロッパの歴史を知る上ではとてもわかりやすいと思う。
多くの肖像画、図版、写真が添えられているので、より理解しやすく親しみやすい。

各国ごとに見ていくと理解しにくいヨーロッパ史を、王朝の盛衰を切り口にして、わかりやすくまとめてあると思う。




「スペイン レコンキスタ時代の王たち 中世800年の国盗り物語」西川和子 彩流社 2016年

711年、イベリア半島のキリスト教国西ゴート王国はイスラム教国に攻め入られ、数年のうちに半島を支配されてしまう。
1492年、キリスト教国カスティーリャ・アラゴン連合王国はイスラム教国最後の王国ナスル朝の宮殿アルハンブラを開城させ、イベリア半島からイスラム教国を全て駆逐する。
この800年間の国の移り変わりと王の移り変わりを描く。

文章が柔らかくて読みやすい。ですますだし絵本口調と言うか。
内容は面白いんだけど登場人物多すぎて脳内をどんどんすべって行く。アルフォンソ何人いるの!?作者の方も頭の中に収まりきれてないと書かれていた。だよね!!

時代ごとの地図、家系図、イスラム側の姿も描かれて理解しやすいように親切に親切に作られてると思う。
人物の名前は覚えきれなくても、レコンキスタの流れとチェーザレの時代のカスティーリャ・アラゴン連合王国成立までの流れがよくわかる。

ボルジア家はこういう時代の中でこの頃この辺りで出てきたのか、ということが少し鮮明に見えてくる。




「ルネッサンス夜話 近代の黎明に生きた人々」高階秀爾 平凡社 2015年

「夜話」=夜の話=エロ話、かと思ってたら違いました、すみません。夜の余暇にする話=気軽な談話、だそうです。
目次
1. メディチ家の金脈と人脈
2. 一市民の日記
3. フランス病かナポリ病か
4. マルスの休息
5. 傭兵隊から常備軍へ
6. 学者たちの世界
7. 占星術
8. 人相学 - 四性論と動物類推
9. ルネッサンスの女たち

面白い。気軽な話と言われれば確かにそうで、語り口はエッセイのよう。
著者の方は西洋美術史の権威ではあるけど歴史家ではないので、目線を低く読み手(素人)と同じ位置に合わせてくれているのかな。疑問に思ったことを色々調べたので書いたよ!みたいな雰囲気。
だから一冊の本としてはまとまりがなく雑多。でもタイトル「ルネッサンス夜話」だから、ぴったりではある。

内容はマニアック。さすがに権威ある方の疑問に思うことは深いぜ。
悪とされてきた金貸し業を正当化するやり方、
フィレンツェの一商人の価値観、
当時の戦争と傭兵隊長、彼らはなぜ英雄視されそして没落していったのか、
チェーザレも信じてた占星術のあり方、
どれも興味深い!
図版や当時の記録などを交えて解説されるので、理解しやすいし説得力ある。

208ページの学者たちのキャプションは間違ってる、初版は。クリストフォーロ・ランディーノとマルシリオ・フィチーノは逆。以降の版は訂正されてるかな?






地域関連

「ボローニャ/パルマ/ポー川流域 イタリアとイタリア史の縮図」
 日経BP出版センター 2003年

ボローニャ/パルマ/ポー川流域―イタリアとイタリア史の縮図 (旅名人ブックス) エミーリア街道から北の地方、リミニ、ラヴェンナ、モデナ、カノッサなど、あまりメジャーではない地の旅のガイドブックなのだが、街にまつわる歴史を紹介してあるので、読み物としておもしろい。
特にフェラーラからイモラ、ファエンツァ、フォルリなどは、チェーザレの時代のエピソードを取り上げてあり、ルクレツィアやカテリーナ・スフォルツァ、アストーレ・マンフレディも登場してわくわくできる。写真と地図で見るチェーザレの進軍。妄想もリアルになるよ!
イタリアの歴史を知る上でも、読みやすく判りやすいと思う。もちろん偏ってはいるけれど。

ボローニャ大学の歴史なんかには、「国民団」という学生の団体が登場し、これはピサ大学での「スペイン団」「フランス団」と同じものだったんだろうなー、じゃあロドリーゴパパもそんな団体に所属していたのねーなどと余計な?妄想までできる。(チェーザレの父ロドリーゴはボローニャ大学出身。)
旅行の予定はなくても読みたい本です。




「イタリアの田舎町 旅先で見つけた魅力的な街並み」
 日経BP出版センター 2004年

イタリアの田舎町―旅先で見つけた魅力的な街並み (旅名人ブックス)上の「ボローニャ/パルマ/ポー川流域」と同じ、旅行ガイドである「旅名人ブックス」の1冊。かぶっている土地も多いが、(ラヴェンナ、パルマ、モデナ、フェラーラ、リミニ、ピアチェンツァ、マントヴァ、クレモナ、ブレシア、レッジョ・エミーリア)こちらの方がより小さな地方都市を網羅している。ラツィオ、トスカーナより北の全59都市。
この本も旅行ガイドというより、読み物的おもしろさがあるが、歴史の紹介というより、旅行日記っぽい。
多くの都市にローマ時代の遺跡が残され、古い建物が現存し、中世からほとんど変わらぬ街並みが守られていることに驚く。ただ、どの街も似たりよったりではあるし(どこも全部田舎だし)、チェーザレとはあんまり関係ない土地も多い。 。

しかし、(いい意味で)発展していない、時間の止まったような街々は、チェーザレの時代のイタリアの雰囲気を味わうには、ぴったりではある。




「イタリア 12小都市物語」小川煕 里文出版 2007年

ペルージャ、ラヴェンナ、モーデナ、ピーサ、パードヴァ、シエーナ、ヴェローナ、ウルビーノ、マントヴァ、フェッラーラ、パルマ、ベルガモの12都市について、ちょっとした歴史と見どころ。見どころは観光名所と言うよりその地の建築や美術品。

写真が多いのは嬉しいけど全部白黒。
チェーザレにまつわる都市は半分だけど、関係ない場所も面白いです。全く関連しないわけじゃないし。特に美術が好きな人はどの都市にも知った名前が登場すると思うので、楽しめるんじゃないかと思う。

小都市について書かれているものってあまりないので、観光旅行ガイドとは違う切り口の、Wikipediaとは別のものが読みたい人にはおすすめ。
ただ各都市25ページずつほどなので、詳しくはない。

私はペルージャにバリオーニが数行だけだけど出てきて嬉しかった。
美術系の話よりもっと歴史の話が多かったらよかったなー、という感じ。




「週間ユネスコ 世界遺産NO.1イタリア ローマの歴史地区1」
講談社 平成12年




「週間ユネスコ 世界遺産NO.2イタリア ローマの歴史地区3」
講談社 平成12年




「週間ユネスコ 世界遺産NO.1イタリア シエナの歴史地区14」
講談社 平成12年




「週間ユネスコ 世界遺産NO.1イタリア ナポリの歴史地区21」
講談社 平成12年




「週間ユネスコ 世界遺産NO.1イタリア ミラノの歴史地区45」
講談社 平成12年




美術関連

「ヴァチカン・ガイド 美術館と市国」 訳 石鍋 真澄 他 Edizioni Musei Vaticani

ヴァチカン・ガイド―美術館と市国 (単行本) ヴァティカン美術館で販売されている公式ガイドブック。ヴァティカン美術館内の全ての展示室を紹介している。
各部屋の地図、どの作品がどこに置かれているか、その作品群の解説、と、とても詳細。建物の歴史やエピソードまで紹介される。

美術館だけでなく、教皇宮殿やサン・ピエトロ大聖堂、聖具室、宝物館、グロッタ(地下墓地)、庭園など、市国内設備のガイドも同様に充実。
ただグロッタへの入口などは、以前のものが書かれていて、現在とはやや異なる。

その他にヴァティカン小史、歴史地図(どの年代にどこが作られたか、という図)、歴代教皇の紋章、なども掲載され、これ1冊でヴァティカンの「ハードウェア」的部分は、かなり深く理解することができる。

欠点を挙げるならば、写真の数が少ないこと。各部屋の代表的なものが載せられているだけで、全体数は淋しい。
が、逆に文字による情報はマニアックなほどにこと細か。取りこぼしがない。さすが公式ガイド。

ちなみに、このサイトの「ボルジアの間」のページは、ほぼこの本に頼って書いています。




「ルネサンス美術館」

ルネサンス美術館(全1巻) 印刷がものすごく美しく、絵具のめくれ具合まで再現されていて、本物を目の前にしているよう。






その他

「ヨーロッパの紋章 紋章学入門」 森護 河出書房新社 1996年

「シリーズ紋章の世界」のⅠ。
Ⅱは「ヨーロッパの紋章・日本の紋章」。Ⅲは「英国紋章物語」。

紋章の起源からその構成
各構成要素の解説
イギリス王家の紋章史(著者は主にイギリス紋章の研究者であるよう)。
カラーページは冒頭に32ページ、巻末に英語の索引。

「入門」と付いているので、初心者向けの簡単なものかと思うけど、かなり詳細。B6版の大きさで厚さ3センチ弱(331ページ)あるし。

ただ詳しすぎて、微妙に異なる図形の解説(2分割と3分割とか分割線の角度の違いとかでいちいち名称が異なる)などが延々と続くので、段々どうでもよくなってくる。

紋章の構成要素をがっつり知りたい方には最適。

図も多くわかりやすい。挙げられる例が著者の研究分野なのでイギリス多め。




「紋章学辞典」 森護 大修館書店 1998年

上記の紋章学の本と同じ著者の方。たぶん日本における紋章学の権威なのでしょう。Wikipedia見ると、紋章とイギリス王室の本、多数出版されてる。

こちらは上の本より大きくA5版(変形)、厚さ2センチ(260ページ)。
カラーページは冒頭に4ページ、巻末に紋章学用語の仏英対照表。
索引はない。と言っても辞典なので全体が索引形式。
冒頭に概論として紋章についての大まかな解説がある。が、8ページほど。あとは「辞典」

国語辞典とか英和辞典とかでも広辞苑ほど厚くない簡易な辞書あるじゃないですか、あれの紋章版って感じ。

見出し語はAから始まる英語の用語。なので調べる側もある程度知識が必要だと思う。
紋章について調べたい用語が英語ならいいけど、日本語だと対応する訳語がわからないから。(こういう専門用語ってWEB翻訳は正しく訳してくれないことが多い。)辞書を引く前段階のハードルが高い。

しかも「辞典」なので、各用語の解説はそんなに詳細ではない。図はふんだんに載せられておりわかりやすいんだけど…。
初心者向けではないのに、詳しい方にも物足りないのでは…と思う。(しかし用語によってはえらく詳しいものある。マーシャリングmarshallingとか。)

英語で紋章の本を読んでる方、英語の専門用語を知りたい方、辞典として使わず1ページ目から読み物のように読む方には良い本。




「紋章の歴史 ヨーロッパの色とかたち」ミシェル・パストゥロー・著 松村剛・監修 創元社 1997年

「知の再発見」双書シリーズの69。文庫とB6版の間でカラー多め、158ページ。巻末に紋章を構成する用語について少し、索引、図版の出典。

紋章の歴史、紋章の図柄と色彩、紋章学について。
専門的な内容をわりとざっくり紹介してる感じ。小ネタが多くて面白い。
ボルジアの紋章は赤い牡牛だけど、牛のような家畜の意匠は登場が遅く、また上流階級には好まれず平民の紋章に多かった、とか。ボルジア家…意外!



面白エピソードが多く語られるんだけど、語りの中で紋章のかたちや図柄などの用語が説明なく使われていたりするので、全くの初心者には少し難しい気がする。読み飛ばせないこともないけど。
(わからない用語を紋章学辞典で調べたいと思っても、ここに出てくる用語は日本語で辞典の見出しは英語だから、上手く連携して使えないんだよなー)

ざっくりだから読みやすいんだけど、ざっくりだから多少は知識がないと読みにくい。
薄くて小さい本なんだけど、内容は濃いと思う。







「図説 ヨーロッパの紋章」 浜本隆志 2019年

「ふくろうの本」の図説シリーズ。形態は他のシリーズ同様、正方形ぽくて厚さはなく(120ページ)、カラー多め。

こちらは本当に初心者向け。
サッカーや自動車のエンブレムや人魚伝説やバラ戦争、日本の紋章との比較など、興味を引くエピソードを多く交えていて、学問と言うより雑学・教養の範囲にある感じ。

しかし内容が乏しいわけではなく、大まかな歴史、紋章の構成にもしっかり触れられている。

面白いのは「マネッセ歌謡写本」という、13世紀の主にドイツ語圏の宮廷歌人140人の詩集(精密彩色された137枚の肖像画付き)にある騎士の紋章を取り上げてあること。
紋章とともに王侯貴族の騎士道生活が紹介されていて、なかなか特長的な章になっている。









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